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専門医療センター

鏡視下手術センター

泌尿器科での腹腔鏡手術を受けられる方へ

泌尿器科領域での腹腔鏡手術

腹腔鏡手術は皮膚・筋肉を大きく切開しないことで、手術後の回復が早い点や、からだの奥深い部分を拡大してみることができるため、泌尿器科領域の手術でも急速に腹腔鏡手術が普及しています。一方腹腔鏡手術では、臓器の位置関係などを十分理解していることや安全で確実な技術が必要とされるため、2004年より手術のvideoを審査して手術手技を認定する泌尿器科腹腔鏡手術技術認定制度が発足しています。
腎副腎は肋骨に囲まれ、体の背中側に存在する臓器です(図1)。従来の腎・副腎の手術では肋骨を切除したり、わき腹を大きく切開する必要がありました。また、前立腺も骨盤内の一番深い所に存在し、周囲を豊富な血管で囲まれています。そのため 腎・副腎・前立腺の手術については、傷を大きく広げる代わりに体の内部まで観察できる腹腔鏡を使い拡大した視野の中で手術を行うことが発展してきました。腹腔鏡手術では、二酸化炭素を注入して腹部を膨らませながら手術を行うため、小さな血管からの出血は少なく出血量は開放手術に比較し少ない傾向があります。

図1 腎臓の位置

腎臓の位置

保険診療で認められている泌尿器科腹腔鏡手術

  • A.腹腔鏡下副腎摘除術
  • B.腹腔鏡下腎摘除術 および 腹腔鏡下腎部分切除術
  • C.腹腔鏡下腎盂形成術
  • D.腹腔鏡下前立腺摘除術

などがあります。

A 腹腔鏡下副腎摘除術

原発性アルドステロン症、クッシング症候群、内分泌非活性腺腫、褐色細胞腫などの良性副腎腫瘍に対する標準術式となっています。最近では、比較的小さな孤立性転移性副腎癌に対しても行われるようになっていますが、悪性の副腎腫瘍では腫瘍の播種の可能性があるため、開腹手術の方が好ましいと考えられています。

B 腹腔鏡下腎摘除術

現在は、腎癌・腎盂尿管腫瘍などの悪性腫瘍を中心に多く行われています。生体腎移植術のDonor腎摘出術や小さな腎癌の腎部分切除術も腹腔鏡下におこなわれています。

  1. 腎癌に対する腹腔鏡手術
    腎癌に対する腹腔鏡手術は、腫瘍の大きさが7cm以下の場合、手術後の再発率は開放手術を行った腎癌の治療成績と同等であることが多く報告されています。そのため腹腔鏡下手術は7cm以下の腎癌すなわちstage Iの腎癌に対する標準的治療法の一つになっています(図2)
  2. 腎盂尿管腫瘍に対する腹腔鏡下腎尿管摘除術
    腎盂尿管腫瘍に対しては腎摘除術と同時に下部尿管に膀胱を一部つけて摘除することが標準術式とされています。肋骨に囲まれた腎と恥骨付近の膀胱まで手術を行うため、従来の開創手術では創部が非常に大きくなっていました。腎は腹腔鏡手術にて腎摘除術を行い、下部の尿管及び膀胱の手術は小さな切開を加えて摘出を行う方法が現在広く行われています。

図2 摘出した腎癌を袋に収納

摘出した腎癌を袋に収納

小さな腎癌に対しては癌の部分だけを切除し、他の健康な部分を温存する腎部分切除術も広く行われていますが、開放手術では創部はやはり大きなものになります。
腹腔鏡下手術では、小さな傷で腫瘍の取り出しのために傷を広げる必要がなく、開放手術と同じことができる利点があります(図3,4)。腫瘍を切除した部分からの出血に対しては、腎の血流を短時間遮断して止血します。腎の血流を遮断できる時間は30分程度と限られているため、確実な手術のためには腹腔鏡手術の経験と技術が必要です。

図3 腹腔鏡下腎部分切除術

摘出した腎癌を袋に収納

図4

摘出した腎癌を袋に収納

 

C 腹腔鏡下腎盂形成術

腎臓で作られた尿は尿管を通り膀胱に流れますが、先天的に腎から尿管に入る部分が狭くなり、腎に尿が貯留し水腎症となることがあります。
開放手術による手術が一般的に行われていましたが、腹腔鏡手術の進歩により狭い部分のみを切除し、尿管と腎を縫合することが可能となっています。(図5.6)

図5 水腎症に対する手術

摘出した腎癌を袋に収納

図6 手術創

摘出した腎癌を袋に収納

D 腹腔鏡下根治的前立腺摘除術

前立腺癌に対しては、前立腺を摘出し膀胱と尿道を吻合する手術が広く行われています。ただし、前立腺は骨盤内の一番深いところにあることに加え、周辺を豊富な血管に囲まれています。また前立腺は尿道活約筋と接しており、手術後には尿失禁などの合併症が起こることもあります。 
腹腔鏡下手術では、深い部分でも拡大して観察することが可能で、良好な視野のもとで気腹圧をかけながら、出血量も少なく手術をすることが可能なため、米国・欧州では広く普及しています。さらに最近では腹腔鏡手術に手術用のロボットも導入され、尿道膀胱の縫合も容易にできるようになっています。(まだ日本では、ロボットの導入はされていません。)

 

手術について、不安なことやご質問がありましたらお問い合わせください。